◆ チュウゴクアミガサハゴロモとは

チュウゴクアミガサハゴロモは、中国原産の外来昆虫で、カメムシ目ハゴロモ科に分類される害虫です。成虫は茶褐色から鉄さび色をしており、前ばねの中央付近に三角形の白い斑点があるのが特徴です。幼虫は白っぽく、腹部から白い綿のようなロウ物質を出します。

日本では大阪府で初めて確認され、その後、本州・四国・九州の各地で発生が確認されています。農林水産省植物防疫所によると、2026年1月9日時点で28都府県から病害虫発生予察特殊報が発表されており、2024年には国内で農作物への被害も初めて確認されました。

近年は、果樹、茶、庭木、街路樹など幅広い植物で発生が報告されており、全国的に注意が必要な外来害虫です。

チュウゴクアミガサハゴロモの卵

チュウゴクアミガサハゴロモの卵

チュウゴクアミガサハゴロモの幼虫

チュウゴクアミガサハゴロモの幼虫

チュウゴクアミガサハゴロモの成虫

◆ 山椒にも注意が必要です

チュウゴクアミガサハゴロモは非常に広い範囲の植物に寄生します。かんきつ類、キウイフルーツ、ブルーベリー、オリーブ、りんご、もも、かき、ぶどう、くり、うめ、茶、クチナシ、ツバキ、サルスベリ、ハナミズキなど、多くの果樹・庭木・植木で確認されています。

山椒も例外ではありません。和歌山県で行われた寄主植物調査では、サンショウにも産卵痕が確認され、産卵痕数が多い植物のひとつとして報告されています。山椒を家庭菜園や畑で育てている場合も、枝に白い綿状の付着物や不自然な傷がないか確認することが大切です。

主な被害

1. 枝や葉から汁を吸う

成虫や幼虫は植物の枝や茎に寄生し、植物の汁を吸います。大量に発生すると、植物の生育が弱ることがあります。山口県も、成虫・幼虫が枝に寄生して吸汁加害すると説明しています。

2. 卵を産み付けられた先の枝が枯れる

特に注意したいのが産卵被害です。雌の成虫は、細い枝に傷をつけ、枝の内部に卵を産み付けます。産卵後は、白い綿のようなロウ物質で産卵部分を覆います。

産卵された部分では維管束が傷つき、卵が産み付けられた場所より先の枝が枯れたり、枝がもろくなって折れたりすることがあります。植物防疫所も、産卵により枝先の枯死や枝折れ被害が生じると説明しています。

3. 排泄物がすす病を引き起こす

チュウゴクアミガサハゴロモは、吸汁したあとに甘露と呼ばれる排泄物を出します。このべたついた排泄物にすす病菌が繁殖すると、葉や枝、果実の表面が黒く汚れたようになります。すす病が広がると見た目が悪くなるだけでなく、果実や苗木の商品価値にも影響します。植物防疫所は、甘露の排泄によりすす病を誘発し、果樹では果実の外観品質を損ねるとしています。

◆ 見つけ方のポイント

次のような状態が見られたら、チュウゴクアミガサハゴロモの可能性があります。

  • 枝に白い綿のようなものが付いている
  • 細い枝に列状の産卵痕がある
  • 茶色っぽいガのような成虫が枝にとまっている
  • 白くふわふわした幼虫が枝や葉にいる
  • 枝先が突然枯れている
  • 葉や枝、果実が黒くすすけたようになっている

在来種のアミガサハゴロモと似ていますが、チュウゴクアミガサハゴロモの成虫は鉄さび色のはねと三角形の白斑が目印です。

◆ 家庭でできる対策

1. 産卵痕のある枝を切り取る

枝に白い綿状の産卵痕を見つけたら、早めにその枝を切り取ります。切り取った枝をそのまま放置すると、卵から幼虫が発生する可能性があるため、袋に入れて密閉し、自治体のルールに従って処分します。

植物防疫所は、産卵痕がある枝を見つけ次第除去するなどの耕種的防除を推奨しています。

2. 捕虫シートを設置する

成虫対策として、黄色の粘着式捕虫シートも有効です。黄色粘着板は、発生状況の確認や成虫の捕獲に使われています。神奈川県の防除情報でも、黄色粘着板を設置して誘殺数の推移を調査した結果が示されています。

家庭菜園や鉢植えでは、山椒の近くや被害が出ている木の周囲に捕虫シートを設置すると、成虫の発生確認と捕獲に役立ちます。ただし、捕虫シートだけで完全に防除できるわけではないため、産卵枝の除去とあわせて行うことが大切です。

捕虫シート

3. 防虫ネットを使う

大切な苗木や鉢植えでは、成虫の飛来を防ぐために防虫ネットを使う方法もあります。植物防疫所も、産卵被害を防ぐ目的では防虫ネットの設置が有効としています。

4. こまめに枝を観察する

チュウゴクアミガサハゴロモは、枝に卵の状態で越冬します。大阪府では年2回の発生が確認されており、6〜7月と9〜12月に成虫が羽化するとされています。

特に春から秋にかけては、山椒や果樹、庭木の枝を定期的に確認し、白い綿状の産卵痕や成虫を早めに見つけることが重要です。

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◆ 農薬についての注意

2026年1月9日時点で、日本国内ではチュウゴクアミガサハゴロモを対象にした登録農薬はありません。農薬を使う場合は、対象作物に登録のある農薬かどうかを必ず確認し、ラベルの記載を守る必要があります。

家庭菜園や山椒栽培では、まずは見つけた枝を切る、捕虫シートを使う、防虫ネットで防ぐ、周辺の木も観察するといった物理的・耕種的な対策を中心に行いましょう。